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サルサ

Salsaサルサの踊り方
*** サルサダンスの各スタイルと踊り方

前頁の"The history of salsa dancing"ではサルサが多様なダンスの複合体から成立したものであることをご紹介しました。この頁ではサルサの踊り方とそこで使われる主な用語をご紹介します。

「サルサほど教室あるいはインストラクターによって教わる内容が違うダンスはないのではないか」とおっしゃった生徒さんがいらっしゃいました。上述の通り、サルサは様々なダンスのよいところを組み合わせて出来ているために、各踊り手のバックボーンを取り込みやすい性質をそもそも持っていることがその理由です。

なるほどサルサクラブに行くと、基礎となるベーシックステップの踏み方やリズムの取り方がばらばらに見えて、このダンスになんらかの法則はあるのだろうか?と不思議に感じる方もいるでしょう。その疑問にお答えしていきましょう。


「サルサのカウント取り」

サルサは音楽を1234/5678の8カウントでリズム取りをした際、三歩踏んで一拍休む(伸ばす)、また三歩踏んで一拍休む(伸ばす)・・・ことを繰り返して踊ります。このカウントは「ワン・トゥ・スリー&ファイブ・スィックス・セブン」だとか、「クイック・クイック・スロー、クイック・クイック・スロー」、スペイン語なら「ウン・ドス・トゥレース、ウン・ドス・トゥレース」とか「ウン・ドス・トゥレース・イ・スィンコ・セイス・スィエテ」のように表現されます。手拍子を三つ叩きながら「パン・パン・パーン、パン・パン・パーン」と音で指導される場合もあります。休み(伸ばし)にあたる部分に軽いキック(つま先をける動作)やタップ(つま先を地面に軽く触れる動作)をいれてアクセントをつけたりキレを出したりすることもありますが、「サルサダンスは四カウントのうち三つを踏むのが基本」とまずはざっくり捉えてください。


「サルサのベーシックステップ」

上述のカウント取りにあわせて、基本的に男性なら左足から「左・右・左〜、右・左・右〜」、女性は右足から「右・左・右〜、左・右・左〜」と交互に踏みます。「〜」の部分にキックやタップをいれる場合もあります。このステップを前後に行きつ戻りつして踏むのがアメリカおよびキューバのベーシックステップです。

一方コロンビアのカリのスタイルはまず足をバックにクロスさせるのが基本で、ほかのスタイルだったら休み(伸ばし)にあたるところにもキックやタップで休みなくリズムを刻むステップが多くなっています。よって四拍中三歩というよりも四拍中四歩なんらかのステップ・キック・タップをいれることが多く、またさらにそこにシンコペーションと呼ばれるリズムの倍取りを加えることによってなお一層早く細かいステップを出現させます。

そのほか多くのラテン人にとっても、はじめの一歩を男女とも斜め後ろに踏んで、向かい合ったペアがカタカナのハの字の形に体を交互に開きながら踊る「クンビア」とよばれるステップがゆりかごにのったように心地よく感じられるようです。
さらに男性が女性を遠ざけるように押してその後ひきつける、キューバでいうところのグアペアとよばれる踏み方を踊りの冒頭から用いることがあります。このグアペアは男女のペアが輪になって相手を次々に交換しながら踊るキューバ産のルエダ・デ・カッシーノ(略してルエダ)の際の基本ステップがそのまま二人組の踊りに応用されたものです。これはベーシックステップとは呼ばれませんが、曲の冒頭から使うという意味ではベーシックステップに準ずるものといえるでしょう。キューバのサルサダンスについては後に詳しくご紹介します。


「サルサのリードとフォローについて」

サルサは基本的に男女がペアで踊ります。男性はリーダー、女性はフォロワーと呼ばれ、リズムの捉え方やベーシックステップの踏み方は男性が責任および決定権を持っています。女性はそれをうけて、男性と鏡合わせの関係を作ります。すなわち押されたら引き、引かれたら前に出、遠ざけられたら離れます。このような関係を「リードとフォローの関係」と呼びます。これを円滑に成立させるために、二人の組み方、フレーム(枠。二人の体と腕が形づくる円のこと)の維持の仕方、テンション(手・指・腕の力関係)のかけ方などに様々なコツがあります。サルサダンスでもっとも大切なのがこのリード&フォローの関係を円滑におこなうことです。


「サルサのいわゆる『スタイル』と呼ばれるもの」

サルサには「○○スタイル」という呼び方があって、どのようなリズム取りをするか、どのようなベーシックステップを基本とするかを大まかに区分けすることができます。あるリズム取りとベーシックステップが多くのダンサーたちに広く共通認識として通用するに到っている場合、「○○スタイル」の名がつきます。以下に代表的なものをあげてみましょう。

@リズム取りの視点から

●On1スタイル:男性はカウントの1で左足を前、2で右足をもとある場、3で左足を後ろに、5で右足をさらに後ろ、6で左足をもとある場、7で右足をその前に踏みます。女性は1で右足を後ろ、2で左足をもとある場、3で右足を前に、5で左足をさらに前、6で右足をもとある場、7で左足をその後ろに踏みます。この前後の動きをベーシックステップとして踊りの冒頭に使います。リーダーが積極的にカウントの1を感じてそれをパートナーに伝える必要があり、またリズム取りの要がカウントの1にあるため、"Dance on 1"を略してOn1と呼ばれます。

サルサOn1スタリルのリズム取りとベーシックステップはこの映像でよく理解いただけるでしょう。一度に二人の女性をリードすることは踊りなれた男性が特にパーティーの場でよく行います。



●On2スタイル:男性はカウントの1で軽く左足を後ろにずらし、2で右足をその後ろ、3で左足をもとある場で踏み、5で右足を前、6で左足をさらに前、7で右足をもとある場で踏みます。女性はカウントの1で軽く右足を前にずらし、2で左足をその前、3で右足をもとある場で踏み、5で左足を後ろ、6で右足をさらに後ろ、7で左足をもとある場で踏みます。踏み始めはカウントの1にありながらもカウントの2と6がベーシックステップの前後の切り替えポイントになっており、それがために2と6を強調して踊ることになるので、"Dance on 2"を略してOn2と呼ばれます。

サルサOn2スタイルのリズム取りとベーシックステップはこの映像でよく理解いただけるでしょう。前後に動くのがベーシックステップ、男性と女性の立ち位置が交替するのがクロスボディリードです。



それ以外のリズム取り

●On3スタイルという呼び方はありませんが、明らかにカウントの3から踊り始める人もいます。東京に多いペルー系の方、またコロンビアのダンサーはじめ多くの中南米の人々にみられます。その秘密はコンガのスラップ「2」で心のスイッチをいれ、その次の3から「3・4・5」と連続ステップを踏むことにあります。また踊っている間に二人のリズム&タイミングがテンポアップして、その曲のスタート時はOn1だったダンスが一時的にOn3になる場合もおこります。On1からOn3への曲中での以降は多くのラテン人に見られるのと、下記のロサンゼルススタイルのクラブダンス(パフォーマンスダンスとの違いは後ほど)の最中にもよく登場します。

<On3を自然に取り入れるラテン人の感覚>

中南米で広く行き渡っているOn3のリズム取りはこの映像でよく理解いただけるでしょう。コンガのスラップ「2」でキックをいれることをきっかけして、「3・4・5」で三つのステップを踏む。冒頭のインストラクターの声のかけ方をきいても、メロディーではなく完全にリズムで音楽をとらえていることがわかります。



●「ステップ・ステップ・<キック>・ステップ/ステップ・・ステップ・<キック>・ステップ」のようにカウントの3と7につま先で地面を軽くとらえる「タップ」、あるいはつま先で宙を軽く蹴る「キック」が組み込まれる場合もあります。コロンビアのカリのスタイルによく見受けられる踊り方です。

カウントの3でタップをいれるコロンビアのダンスはこちらの映像でよくご理解いただけるでしょう。



●カウントの冒頭でひと呼吸おいて「休・2・3・4/休・6・7・8」のように踏む方法もあります。キューバの伝統的なソンで使われ、プエルトリコの一部のダンサーに見られたりするリズム取りですが、これらを「On2」と呼ぶことはありません。キューバではこのはじめにひと呼吸飲み込むリズム取りを「コントラ・ティエンポ(裏取り)」と呼び、2・3のクラーベ「(うん)コンコン・コーンコンコン」のリズムとはじめの一歩が呼応する点が好まれます。

伝統的なソンで使われるコントラ・ティエンポのリズム取りと足運びはこの映像でよく理解いただけるでしょう。



A地域的な視点から

○ロサンゼルススタイル:On1のリズム取りをベースにアメリカ西海岸で発達した踊り方です。華やかさに加えてスピーディー・スポーティーであることが評価されています。西海岸にはウエストコーストスイングというペアダンスのジャンルがあり、その「リフトを用いて見せ場を華やかに印象付ける」影響が色濃いのが大きな特徴といえますが、それだけではありません。私が実際に現地でフリーで(はじめての相手と打ち合わせなしの即興で踊ること)踊った感覚からいうと、On1で踊り始めても興に乗るうちにどんどんスピードアップしてOn3にいとも簡単に移行するリーダーが少なくありません。ロスでフリーで踊る際の特徴といえばこの「スリルとスピード」が最大の持ち味であろうと思います。日本からはじめてロサンゼルスのクラブにいった方には「そこにいる全員がプロフェッショナルのダンサーかと思った」という感想をおっしゃった方もいました。まったくロサンゼルスのダンサーはプロ・アマ問わずクレイジーなまでに踊りに貪欲だと思います。車社会なのでアルコールの力を借りずにハイになるべく全力で踊る、という事情も関係しているのかもしれません。

ロサンゼルススタイルのイメージはこちらでよくおわかりいただけるでしょう。



○ニューヨークスタイル:前頁でご紹介した"The history of salsa
dancing"に登場するエディ・トーレスが、マンボ黄金時代のニューヨークにおける様々なダンサーの踊り方をもとにして、音楽的な見地からみて理にかなったベーシックステップを完成させたOn2のダンススタイルです。ペアワークの最中にシャインと呼ばれるソロのダンスの時間を豊富にとるところにマンボ時代の名残があります。世界的にニューヨークスタイルの人気は高まり、現在では「On2」といえば自動的にこのニューヨークスタイルのことを指します。ニューヨークではサルサパーティーのことをソーシャルと呼び、私がフリーで踊った印象では、踊りながらリーダーが音楽に対してリズム取りのスピードを加速することはロスと違ってほとんどないという意味で踊りやすく、一方でステップやペアワークの技が高度に体系化されているので「知っているかいないか」が大きくものをいうと感じました。アフリカンダンスの要素も土くささを抜いてお洒落に落とし込んである都会的なダンススタイルです。

ニューヨークスタイルのイメージはこちらでよくおわかりいただけるでしょう。パートナーが次々に変わるのは、イベントで一人のダンサーにフィーチャーしたとき、一曲中にできるだけ多くのゲストと組めるようにする場合によく行われます。またバースデーの方にもその人にモテ気分を会場のみんなからプレゼントすべくよく行われます。


○キューバンスタイル:"The history of salsa dancing"で解説があるように、サルサはキューバのダンスを源流としています。現在はキューバでもサルサという言葉は日常的に使われていますが、カッシーノ・ダンスという名称が以前から行き渡っており今でもこの用語は健在です。リズム的にはOn1のグループに入ります。
上記の二つのアメリカのスタイルがインラインといって男女が基本的に一直線上を行ったり来たりするように踊るのに対し、キューバンスタイル・サルサではペアが空間を円としてとらえます。ですからペアが行ったり来たりするのではなく、ぐるぐると円を描いて踊っているように見えます。キューバではぐくまれたペアダンスであるソンの影響で、ステップを踏んだほうの肩(左足なら左肩、右足なら右肩)を高々と上げる独特のボディムーブメントを使います。また男性が両手を女性とつないだままでまるで知恵の輪のように腕を絡ませながら踊り、最終的にそれをほどいてしまうトリッキーな見せ場を作る点も大きな特徴といえます。
二人が離れて踊るときはステップよりも(キューバのダンスではシャインという言葉は使いません。これはアメリカのサルサダンス界特有の言葉です)主にルンバのムーブメントやヒップの動きの激しさと滑らかさを競います。いうなればセックスアピールのみせどころといったところです。

キューバン・スタイルのイメージはこちらの映像でよくおわかりいただけるでしょう。



キューバンスタイルの一環として、二組以上のペアが円をつくってパートナーを交換しながら踊る「ルエダ・デ・カッシーノ」略して「ルエダ」があります。通常男性のうち一人がリーダーの中のリーダーとなって、どのような技をかけるかを大きな声や手話を使って号令をかけ、各ペアの男性がそれに応じて女性をリードします。このルエダの際に使われる基本ステップが、男性が女性を遠ざけてから今度はぐっとひきつける「グアペア」というもので、号令がかからない間はこれを行いながらリーダーの指示を待つことが暗黙の了解となっています。
ルエダはキューバ本島のほか、キューバからの移民が多いアメリカのマイアミ地方でも大変盛んです。

ルエダがどのようなものかはこちらの映像でおわかりいただけるでしょう。もちろん彼らはまとまったグループで練習を積んでこの域に達しているのです。さらにショー的要素を加味したものからもっと簡単なパターンまで、場とメンバーに応じてルエダは楽しまれています。



○コロンビアスタイル又はカリスタイル:コロンビアの街カリはパチャンガ、ブーガルーという音楽及びダンスをもとにして独自のサルサダンスの形式を確立しました。その特徴は男女とも上体をほぼ垂直に立ててパートナーに正対し、両腕をリード&フォローの道具として最大限利用し、完全にフットワーク重視で踊ることです。冒頭にキックを入れたら"Atras y Puesto(バッククロスステップ&戻し)"をベーシックとして用います。また他のスタイルと大きく異なる点として、男女の立ち位置を交換するためのクロスボディリード(キューバンスタイルでいうディレケノ)を用いず、そのかわりに相手をおしやった反動を利用して"Atras y Puesto"でポジションを交替することがあげられます。リズムの捉え方としては基本On1といえますが、指導者やリーダーが冒頭のキックをどこに据えるかでOn1にもOn3にもなります。カリのスタイル「なぜあんなにステップが早いのか」「どうしてぴょんぴょん跳んでいるように見えるのか」という疑問をよくききます。それらのスタイルはこの地域の伝統芸能であるクンビアと、パチャンガ、ブーガルーによって育まれましたので、後の頁「サルサに影響を与えた音楽とダンススタイル」でご紹介したいと思います。

コロンビアのカリのスタイルと、ニューヨークをさしおいても「サルサの首都」と呼ばれる由縁はこちらの映像でよくおわかりいただけるでしょう。



「サルサダンスの多様さに対する対処法」

どのスタイルにも共通することが「肩の力を抜くこと」「姿勢をリラックスさせてかつ胴体をすらりと立てること」「手指のテンションに注意し相手を押しすぎたり引っ張りすぎたりまして掴んだりしないこと」「踊っている間は相手と適度にアイコンタクトをとること」「女性であれば空いた手をだらりと落とさないこと」などがあげられます。スタイルの違いはサルサダンスの歴史上必然のことというふうに柔軟にとらえてください。様々な踊り方の人々がフロアに混じっていることをどうぞ楽しんで!そして「いいな、かっこいいな」と感じるご自分の感性を信じてもっとも得意とするスタイルを身につけていかれるとよいでしょう。

それでもどうしても踊りのタイミングがあわない相手もいます。この場合、次のような理由が考えられます。

・相手のダンススタイルやリズム取りを自分は知らない
・相手はちょっと飲みすぎているようだ
・自分はちょっと飲みすぎたようだ

いずれにしてもあまり気にすることはありません。晴れの日があれば雨の日もあるさ、くらいでよいのです。 でも明らかに相手が上手(うわて)で自分がついていけてないと感じた場合、その人の顔をしっかり記憶にとどめておきましょう。必ずまた会います。人のよさそうな雰囲気であれば「このあいだうまくいかなかったので気になっていたんです。」と話しかけてみることも可能ですし、何年か経ってその意味がようやくわかるということだって本当にあるんです。

私自身はラテン人のOn3の感覚がわからなかったために随分苦労した経験があります。彼らはOn1とOn3を区別しないので、質問したところで謎は解けようがないのです。相手は生き生きと踊っているのに自分ばかりどんどん追い詰められていくあの焦りはなかなか説明しにくいものです。サルサは人生にいい宿題を与えて心と技を鍛えてくれるのです。

加えて純粋なノリだけでサルサを踊る方もいます。音楽に心が揺さぶられてつい体が動いてしまう、それを共有する相手がいる、だからリード&フォローというよりもディスコダンスのように二人が向かい合って思い思い感じるままにリズムに乗るという踊り方です。こういうハッピー・ピープルに誘われたらリード&フォローのことはとりあえず忘れてしまいましょう!


「サルサの誘い方と応じ方」

基本的に男性のスタイルに女性があわせるのが原則になっているので、男性は「踊りましょう!」"Can we dance?""Bailamos!(バイラモス)"などと声をかけたり笑顔&アイコンタクトで踊りたい女性に意思表示をして誘い、自分のスタイルで踊ります。組んで踊り始めると女性の好みやキャリアがわかりますので、それに合わせてダンスの内容を調整します。

アメリカンスタイルを踊る人が多い場ではペアを組む相手にスタイルを尋ねることがあります。「1ですか、2でいきますか」"You dance On1 or On2?"などとという聴き方をし、返答としては"On1, please""On2, please"とか、「おまかせします」"I love both"、「この曲にはOn1がよさそうですね」"Maybe・・・On1 for now"のように答えます。指で人差し指一本をたてればOn1、Vサインを作ればOn2を意味します。

サルサダンスをはじめたばかりのときは「まだ慣れていないのですがよろしくお願いします」"I'm a beginner"のように素直に明かしてしまうほうがお互い力が抜けてよいものです。誰でもはじめは初心者であることをフロアの全員が心しておくのは重要です。初心者さんが本当に気持ちをいれて練習に取り組んだ場合、一年か二年で信じられないほどの上達をみせることがあります。今初心者である方を大切に見守ることが将来の自分を救うのです。

胸や背中に「On1」「On2」という白いマークの入った黒のTシャツを見たことはありますか?「スタイルの違いをひと目で見分けることができたら便利」ということで作られ始めたようです。「私はこのスタイルをベースにしています」「このスタイルに現在力を入れています」というようなメッセージを伝えていますが、ときどきのパートナーとの呼吸がなんといっても優先されますので安心して誘ったり誘われたりしてかまいません。

ダンスの内容が露骨だったりリードが痛かったりする場合には、女性はやんわりと曲の途中でダンスをひきあげることができます。そのときは「すみません、少し気分が悪いので」"Sorry, I feel bad""Con permiso, soy mal(コン・ペルミッソ、ソイ・マール)"といったひとことを添えれば大丈夫です。基本的には最後まで踊るのが礼儀ですが、私は相手の男性があまりにも酔っ払っていたので途中でお断りした経験があります。ニューヨークでの出来事で少々勇気がいりましたが、あとで相手の方が謝罪にきて丸く収まりました。いったんサルサダンスの場に入ったら、日本的な曖昧さはまったく役にたたないということを覚えていてください。同時に笑顔が何よりも評価される場であるということも。

ところで男性は二曲続けて同じ女性と踊ることは無粋とされるので注意しましょう。よい踊り手だなと思ったら「あとでもう一曲お願いします」と声をかけていったん別れ、数曲おいて再び誘いに行くのがスマートな立ち回りです。


「クラブダンスとパフォーマンスの違いと関係について」

即興のサルサダンスをはじめて見た方は誰もが「これは本当に打ち合わせなしで踊っているのか」と驚嘆します。そう、まったく打ち合わせはありません。魔法といっていいほど最高にエキサイティングな見ものです。

クラブやパーティー(ニューヨークおよびOn2界ではソーシャルという言葉がよく使われます)で踊られるサルサは全てが即興です。多くのダンサーによって培われた技の蓄積によって、よく使われるある程度のパターンはあります。しかしそのどれもが男性のリードと女性のフォローという原則にのっとって行われていますから、男性のコール→女性のレスポンスが一歩ずつめまぐるしいスピードでやりとりされているわけです。この原則を守って繰り返し多くのパートナーと踊ることによって、到底即興とは思えない凝ったパートナーワークが出現することがあります。サッカーでいうスーパーゴールのようなものです。しかもサッカーのゴールは一回きりですが、サルサはそれが連続しておよそ5分もの間続くのです。ハイレベルな即興を一曲通して踊りきることができるペアの周囲には自然とサークルが空き、ダンサーは周囲の賞賛の言葉やまなざしを受ける栄誉を手中にします。

クラブダンスでは踊りながらリーダーのリズム感覚・スピード感覚が変化して、もともとOn1で踊り始めた人が曲の間にOn3へ変化することがよくあります。また楽曲によってOn1がOn5になることもよくあります(これは演奏する側が「このほうがかっこいい!」のでそうしているわけです。具体的には8カウントで演奏している中に局部的に4カウントで切り上げてしまう部分を作るわけです。しかしこれは「あれ、ひっくり返っちゃった」という台詞とともに踊る人、特にビギナーを悩ませます)。こういった変化に対して、リズムやタイミングを変更するか、あるいはそのまま突っ走るかを決めるのもリーダーであり、フォロアーはときに足合わせをしてでもリーダーの決断についていかなくてはいけません。

一方パフォーマンスではすでに曲の研究はし尽くされていますから、観客に対して音楽と振り付けのマッチング、隊形の組み方、衣装、化粧、照明といった総合的な楽しさ・美しさを入念に準備して提供することが求められます。優れたパフォーマンスを継続して演じるチームはイベントに呼ばれ、さらに多くの観客に作品を披露することができます。パフォーマンスの練習は長くときとして苦しいものですが、本番に向けて練習を繰り返すことで筋力が鍛えられて柔軟性も増し、当然クラブでの即興のダンスによい影響を与えます。優れた作品を見ると観客のサルサダンスに対するモチベーションはいやがおうにも高まります。よいパフォーマンスとは見た人の心に火や明りを灯すもののことでしょう。


「YouTubeの影響について」

サルサのスタイルの違いについては長年激しい討論が交わされてきました。どれが正しくてどれが間違っているのか、どちらがより優れているのか、どの国が「本家本元なのか」・・・YouTubeに次々とアップされる映像に加えられるコメントにはときに目を覆いたくなるようなものもありましたが、現在ではほかの全ての芸事と同様、「よいものはスタイルを超えて素晴らしい」という考え方が浸透したように見えます。サルサは「サルサ」という一つの言葉では到底まとめきれないほど多様性をもったダンスです。何しろ「サルサ」という言葉自体が「いろいろなものを混ぜ合わせたもの」という意味なのですから、成否の論争をしてもなんの役にもたちません。日々新しい技が研究開発され、他のジャンルのダンスの影響を受けながらサルサは進化していきます。大切なのは非難ではなく、歴史を知り他を尊重する姿勢です。

ある時期からYouTubeには「評価の高いコメント」という機能がついて、延々と繰り返される議論やスターダンサーに対する嫌がらせにある程度結着をつけることができるようになりました。多くの人々の共感を集めるコメントは大概「これは大変素晴らしい作品だが、だからといってほかの作品を拒絶する必要もない。この作品・この人のダンスを素直に楽しもうではないか」というスタンスにたっています。こういった公平な考え方を持つ人々は通常声に出して意見することが少ない分、的を射たコメントに対して「指示」のクリックを押すことによって不毛な論争を終わらせようとしているのです。

YouTubeは地球の裏側のクラブの様子や世界大会の模様までつぶさに、ほぼリアルタイムで映像を共有しうる巨大メディアとなりました。そのあるべき姿については私の意見するところではありませんが、サルサの進化と多様性をこれほど簡単に目にすることができるようになったことと共に、美しいダンスをスタイルを超えて賞賛する理性ある風潮が定着したことはYouTubeのもたらした大きな功績だと思っています。

※今回採用させていただいた映像においてはアップした当事者に可能な限りご報告をしていますが、万一不適切なものがある場合にはご遠慮なくお知らせくださいませ。

※I asked for introducing these YouTube Videos on my websight to whom uploaded them as many as I could, but if you noticed some inadequate please let me know.

「この教室のスタイルについて」

RIO presents SALSA FRESCAは通常レッスンではOn1スタイルを、パフォーマンスレッスンではOn1とOn2の両スタイルを採用しています。インストラクターのRIOはキューバンスタイルを入り口にしてサルサの道に入り、キューバ・プエルトリコ・ロサンゼルス・ニューヨークを訪れ、日本の素晴らしいダンサーや先輩のインストラクターからも刺激とアドバイスをうけて現在のスタイルを確立しました。私が私自身のダンスを評価することはできませんが、かけていただく言葉を総合すると「すっきりしていて、ときとして黒っぽさも感じさせる」ダンススタイルという印象のようです。これまでで一番嬉しかった言葉はダンスのあとの"Who are you?!"、それから若い女性からもらった"I was watching you, WAO!!!"も同性だけに心に沁みました。したがって自分も誰かが素晴らしいダンスを踊ったのを見たときには躊躇なく伝えるように心がけています。

指導の際はサルサ独特の重心移動の方法を合理的に解説すること、男性のリードと女性のフォローの効果的なやりとりに関する手法の伝授、そして女性たちから必ず要望のあるスタイリング(女性らしい手・足・頭部・脊椎などの扱いに関するテクニックの総称)に力を入れています。

レッスンのあとはいつでも、またイベントでも、パフォーマンスとフリー双方で力を発揮すべく準備万端です。また生徒たちによるパフォーマンス、生徒たちと共に踊るパフォーマンス、ダンスパートナーのKz(ケーズィー)とのパフォーマンスの全てにおいて音楽の編集と振り付けを行っています。

どのような形でもお会いできることを楽しみにしています!
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