●On1スタイル:男性はカウントの1で左足を前、2で右足をもとある場、3で左足を後ろに、5で右足をさらに後ろ、6で左足をもとある場、7で右足をその前に踏みます。女性は1で右足を後ろ、2で左足をもとある場、3で右足を前に、5で左足をさらに前、6で右足をもとある場、7で左足をその後ろに踏みます。この前後の動きをベーシックステップとして踊りの冒頭に使います。リーダーが積極的にカウントの1を感じてそれをパートナーに伝える必要があり、またリズム取りの要がカウントの1にあるため、"Dance on 1"を略してOn1と呼ばれます。
●On2スタイル:男性はカウントの1で軽く左足を後ろにずらし、2で右足をその後ろ、3で左足をもとある場で踏み、5で右足を前、6で左足をさらに前、7で右足をもとある場で踏みます。女性はカウントの1で軽く右足を前にずらし、2で左足をその前、3で右足をもとある場で踏み、5で左足を後ろ、6で右足をさらに後ろ、7で左足をもとある場で踏みます。踏み始めはカウントの1にありながらもカウントの2と6がベーシックステップの前後の切り替えポイントになっており、それがために2と6を強調して踊ることになるので、"Dance on 2"を略してOn2と呼ばれます。
○ニューヨークスタイル:前頁でご紹介した"The history of salsa dancing"に登場するエディ・トーレスが、マンボ黄金時代のニューヨークにおける様々なダンサーの踊り方をもとにして、音楽的な見地からみて理にかなったベーシックステップを完成させたOn2のダンススタイルです。ペアワークの最中にシャインと呼ばれるソロのダンスの時間を豊富にとるところにマンボ時代の名残があります。世界的にニューヨークスタイルの人気は高まり、現在では「On2」といえば自動的にこのニューヨークスタイルのことを指します。ニューヨークではサルサパーティーのことをソーシャルと呼び、私がフリーで踊った印象では、踊りながらリーダーが音楽に対してリズム取りのスピードを加速することはロスと違ってほとんどないという意味で踊りやすく、一方でステップやペアワークの技が高度に体系化されているので「知っているかいないか」が大きくものをいうと感じました。アフリカンダンスの要素も土くささを抜いてお洒落に落とし込んである都会的なダンススタイルです。
○キューバンスタイル:"The history of salsa dancing"で解説があるように、サルサはキューバのダンスを源流としています。現在はキューバでもサルサという言葉は日常的に使われていますが、カッシーノ・ダンスという名称が以前から行き渡っており今でもこの用語は健在です。リズム的にはOn1のグループに入ります。
上記の二つのアメリカのスタイルがインラインといって男女が基本的に一直線上を行ったり来たりするように踊るのに対し、キューバンスタイル・サルサではペアが空間を円としてとらえます。ですからペアが行ったり来たりするのではなく、ぐるぐると円を描いて踊っているように見えます。キューバではぐくまれたペアダンスであるソンの影響で、ステップを踏んだほうの肩(左足なら左肩、右足なら右肩)を高々と上げる独特のボディムーブメントを使います。また男性が両手を女性とつないだままでまるで知恵の輪のように腕を絡ませながら踊り、最終的にそれをほどいてしまうトリッキーな見せ場を作る点も大きな特徴といえます。
二人が離れて踊るときはステップよりも(キューバのダンスではシャインという言葉は使いません。これはアメリカのサルサダンス界特有の言葉です)主にルンバのムーブメントやヒップの動きの激しさと滑らかさを競います。いうなればセックスアピールのみせどころといったところです。
○コロンビアスタイル又はカリスタイル:コロンビアの街カリはパチャンガ、ブーガルーという音楽及びダンスをもとにして独自のサルサダンスの形式を確立しました。その特徴は男女とも上体をほぼ垂直に立ててパートナーに正対し、両腕をリード&フォローの道具として最大限利用し、完全にフットワーク重視で踊ることです。冒頭にキックを入れたら"Atras y Puesto(バッククロスステップ&戻し)"をベーシックとして用います。また他のスタイルと大きく異なる点として、男女の立ち位置を交換するためのクロスボディリード(キューバンスタイルでいうディレケノ)を用いず、そのかわりに相手をおしやった反動を利用して"Atras y Puesto"でポジションを交替することがあげられます。リズムの捉え方としては基本On1といえますが、指導者やリーダーが冒頭のキックをどこに据えるかでOn1にもOn3にもなります。カリのスタイル「なぜあんなにステップが早いのか」「どうしてぴょんぴょん跳んでいるように見えるのか」という疑問をよくききます。それらのスタイルはこの地域の伝統芸能であるクンビアと、パチャンガ、ブーガルーによって育まれましたので、後の頁「サルサに影響を与えた音楽とダンススタイル」でご紹介したいと思います。
基本的に男性のスタイルに女性があわせるのが原則になっているので、男性は「踊りましょう!」"Can we dance?""Bailamos!(バイラモス)"などと声をかけたり笑顔&アイコンタクトで踊りたい女性に意思表示をして誘い、自分のスタイルで踊ります。組んで踊り始めると女性の好みやキャリアがわかりますので、それに合わせてダンスの内容を調整します。
アメリカンスタイルを踊る人が多い場ではペアを組む相手にスタイルを尋ねることがあります。「1ですか、2でいきますか」"You dance On1 or On2?"などとという聴き方をし、返答としては"On1, please""On2, please"とか、「おまかせします」"I love both"、「この曲にはOn1がよさそうですね」"Maybe・・・On1 for now"のように答えます。指で人差し指一本をたてればOn1、Vサインを作ればOn2を意味します。
サルサダンスをはじめたばかりのときは「まだ慣れていないのですがよろしくお願いします」"I'm a beginner"のように素直に明かしてしまうほうがお互い力が抜けてよいものです。誰でもはじめは初心者であることをフロアの全員が心しておくのは重要です。初心者さんが本当に気持ちをいれて練習に取り組んだ場合、一年か二年で信じられないほどの上達をみせることがあります。今初心者である方を大切に見守ることが将来の自分を救うのです。
※I asked for introducing these YouTube Videos on my websight to whom uploaded them as many as I could, but if you noticed some inadequate please let me know.
「この教室のスタイルについて」
RIO presents SALSA FRESCAは通常レッスンではOn1スタイルを、パフォーマンスレッスンではOn1とOn2の両スタイルを採用しています。インストラクターのRIOはキューバンスタイルを入り口にしてサルサの道に入り、キューバ・プエルトリコ・ロサンゼルス・ニューヨークを訪れ、日本の素晴らしいダンサーや先輩のインストラクターからも刺激とアドバイスをうけて現在のスタイルを確立しました。私が私自身のダンスを評価することはできませんが、かけていただく言葉を総合すると「すっきりしていて、ときとして黒っぽさも感じさせる」ダンススタイルという印象のようです。これまでで一番嬉しかった言葉はダンスのあとの"Who are you?!"、それから若い女性からもらった"I was watching you, WAO!!!"も同性だけに心に沁みました。したがって自分も誰かが素晴らしいダンスを踊ったのを見たときには躊躇なく伝えるように心がけています。